(2015.04.01 エイプリルフールコンテンツ)

はじめまして。
新しくソノリテに入った半沢といいます。
今日から新年度ですので、
新入社員を代表してこの場でご挨拶をさせていただくことになりました。
よろしくお願いします。

趣味は散歩や日光浴。
苦手なものは湿気や雷です。
特技は機械全般を弄くり回すこと。
豆電球からリニアモーターカーまで、
電気を通して動かすものなら大抵のものは自由に扱えます。
最近熱中していることは二次元と三次元を行き来することです。
実は彼女も二次元に居るんですけど、
画面のこちら側に連れてくることができないので、
結構歯がゆいですね。

僕の父は自営業を営んでいます。
いろんな機械を作ったり修理したりすることが主な仕事です。
僕も小学生の頃までは父の職場を頻繁に訪ねて仕事の手伝いをしました。
機械を扱うのは当時から得意だったので、
大人でもなかなか使いこなせない機械を上手に動かして、
褒められることを楽しんでしました。

ですけど中学生の時。
僕はクラスメートから仲間はずれにされるようになりました。
彼らは僕がいろいろな機械をうまく使えることが、
気に食わなかったようです。

例えば僕がアタリ付きの自動販売機でかならずアタリを出すとか、

コントローラーを使わずにラジコンを動かしてみるとか

みんなの携帯が圏外になる場所でも僕の携帯にだけ電波来ていたり、

ソフトボールの授業で使うピッチングマシンが僕に対してだけ甘い球を投げたりとか、
そういうことがあるたびに、彼らは僕に苛ついたのだといいます。
癪に障ったのだといいます。

僕はそのことを父に相談しました。
すると父はその場で、
僕がロボットであること、
どんな機械でも動かすことができるリモコンを内蔵していること、
そしてそれは多くのひとにとって普通ではないのだということを、
僕に打ち明けました。

それからというもの、
僕は人前で機械を弄ることをやめてしまいました。
これ以上仲間はずれにされたらもう学校に行けなくなってしまう。
そう思ったからです。
でも内心ではすごく悔しかった。
他人と違っていることがどうしていけないんだろう。
そんなモヤモヤとした気持ちを抱えながら、
十代後半の時期は過ぎて行きました。

それから更に数年経ちました。
僕は大学三年生になって就職活動の季節を迎えました。
僕はここでも自分がロボットだということを隠し続けていました。
他の学生と同じようにスーツを着てネクタイを締め、
他の学生と同じように履歴書やエントリーシートをあちこちに送って、
他の学生と同じように幾つかの面接をしました。

みんなと同じやり方で就職活動することには疑問を感じました。
どうしてみんな同じような格好をしなければいけないんだ。
どうしてみんなエントリーシートに同じようなことを書いて、
どうしてみんな面接官の前で同じような嘘を吐いたりするんだろう。
どうしてみんなは疑問に思わないんだろうと、
来る日も来る日も首を傾げました。

こんなことはやりたくない。そう思わない日は殆どなかったです。
けれどみんなと違っていたら、
中学生の時のように、誰も自分を受け入れてくれない。
そう思って、それが怖かったんです。
そんな葛藤を抱えながらいくつかの会社にエントリーしました。
ですが、そんなふうに自分に嘘をつきながら就職活動をしたところで、
やはり仕事は決まらないまま、卒業を迎えました。

就職が決まらないまま大学を出た僕は、
地元の居酒屋でアルバイトをしながら日々を過ごしました。
居酒屋というのは接客上の中でも特殊な仕事場だったように思います。
何故なら基本的にお酒を飲んだお客さんの相手をするからです。
僕はお酒を飲んだひとを見るのが割りと好きでした。
普段はみんなと同じように振る舞って大多数の中に溶け込んでいるようなひとでも、
お酒が入って無防備になると他人と違う部分が垣間見えるからです。
そういう姿を目にするたびに、僕はなんだか安心したのです。

誠意を持って接客すれば、それがきちんと伝わるという点でも素敵なバイトでした。
例えばお客さんにオススメを訊かれた時、マニュアル通りに答えるのではなくて、
お客さんとの対話の中で、どういうものを食べたいのか推し量って、提供してあげれば、
  そのお客さんは僕のことを覚えていてくれて、その後何度も来店してくれます。
嘘を吐いてばかりの就職活動に疲れていた僕にとって、
向けた誠意が目に見える形で返ってくるというのは心地良かったです。
アルバイトなので自立できるほどの収入があったわけでもなく、
先行きのことを考えると暗い気持ちにもなりましたが、
それでも一生懸命アルバイトを続けました。

そんなある日のこと。
いつものように居酒屋でアルバイトをやっていた時です。
店内奥のテーブル席にひとりで座っていた男性のお客さんが、難しい表情で腕を組んでいる姿を目にしました。
その男性は常連のお客さんで、普段はとても陽気なのですが、
あの日はいつもと様子が違ったので、どうしましたかと声を掛けたのです。 
するとお客さんは、手元に置かれているパソコンを指さし、
取引先に急なメールを送らなければいけなくなったのだけど、
パソコンの電源が何故か入らなくなってしまったので困っているのだと、僕に言いました。

正直なところ。僕はそのパソコンを見て少し迷いました。
僕はロボットなのでそのパソコンが壊れていることがひとめで分かりましたが
僕の身体にはどんな機械も動かせるリモコンが搭載されているので、
壊れたパソコンを動かすことぐらいはすごく簡単です。
だけれどこの場で、それをやってしまうと、
目の前のお客さんや他の店員たちに、
自分がみんなと同じではないということがばれてしまうかもしれない。
みんなと同じではないということがばれてしまったら、
また仲間はずれにされて、ここでのアルバイトも続けられなくなってしまうかもしれない。
そんな怖さがあったので、僕は迷ったのです。

でも、せっかくここでアルバイトを始めてから、誠意を持って接客することを大切にしてきたのに、
ここでこのお客さんを手助けしなかったら、それこそ自分に嘘を吐くことになってしまうと、僕は思いました。

僕はお客さんのパソコンを起動させました。
結果的にお客さんは必要なメールを取引先に送ることが出来たのだといいます。
その後、今度食事にでも誘うよと、そのお客さんに言っていただいたんですけど、
そのお客さんが齋藤社長でした。

それから何度か齋藤社長と食事に出かけました。
最初のうちは僕と社長のふたりだけでご飯を食べたりお酒を飲んだりしていたんですが、
回数を重ねるうちに、何人かのソノリテ社員の方々も、
同席してお話をしてくれるようになっていました。
度肝を抜かれたのは、ソノリテという会社には僕と同じぐらいか、
或いはそれ以上に変わった方が何人も働いていたことです。
専務なんか猫ですし(※社内で猫を飼っているんです)
まるで忍者や宇宙人みたいな方々まで居ました。

無理に他人と同じにならなくても就職して働くことは出来るのかもしれない。
そう驚くと同時に、自分もこの会社に勤めてみたいと思うようになっていたのですが、
ちょうどそのタイミングで、一緒に働こうと社長に言っていただき、
そしてこのたび入社する運びになったわけであります。

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